Founder’s Story
人と組織の可能性を、
野外という環境からひらく。
20歳の夏、私は野外教育によって人生を救われ、新しい人生へと歩を進めることができました。
それまで唯一絶対だと思っていた「ものさし」から離れ、自分自身に対しても、そして世界への眼差しも変えることができた瞬間。
株式会社YAGAIは、その経験を原点に、人と組織の変化を支援し、野外教育の価値を社会へ届けるために設立した会社です。

01|The Begining
20歳の夏、
野外教育に出会う。
中学・高校時代、私は陸上競技に打ち込み、タイムや順位、成績という単一のものさしで自他の価値を判断していました。
けれど、筑波大学の陸上競技部へ進むと、全国から集まった世界・全国レベルの選手の中で能力の違いを痛感。思うような結果を出せず、次第に自分の居場所や存在意義を見失っていきました。
結果を出す自分を取り戻したい一心で、ただがむしゃらにトレーニングをした結果、肝臓を痛め、二度のドクターストップ。大学2年生の夏を最後に、競技を引退しました。
その競技を辞める直前の1999年8月。福井県小浜市の実家に帰省したタイミングで、小学生たちが「鯖街道」約100キロを5日間かけて歩くキャンプの運営にインターンスタッフとして参加しました。参加した動機は、大学の必須単位を取ることだけ。帰省のついででした。
※鯖街道・・・福井県小浜市・若狭~京都に続く古い街道
陸上競技で挫折しどん底の心理状態でもあり、正直、「山の中で子どもとキャンプとか、楽しめる気分じゃないし、だるすぎる・・・」と思いながら、初日の集合場所に憂鬱な気持ちで向かったことを覚えています。
ところが、子どもたちや学生スタッフ、指導者とともに自然の山々を歩き、生活し、日々の課題を乗り越える中で、次第に私はそれまでの人生とは大きく異なる形で他者と関わり、今までと全く違う自分がそこにいることに衝撃を受けました。
私自身が自分の殻を破って、素の気持ちも迷いも全てをさらけだし、スタッフや子どもたちと一体となり、心からの笑顔で場を楽しみ、躍動していました。
「自分らしさ」がわからなくなり、弱い自分や小さなプライドを守ることに必死だった、陸上競技での劣等者の私とは別人のように。

自然の前では、全ての人が平等です。
自然環境の中で、スポーツの競技成績や学校のテストの結果、お金をたくさん持っているかどうか、社会的な地位の有無など、日常生活の中で評価の大勢を占める価値観は意味を成しません。
「陸上競技で記録が出せるからすごい・出せないからダメな奴」ではなく、ただ自然体の私でいるだけ。
それだけで、一人のありのままの人間として、他者からも自然からも受け止めてもらえた。
あのときの感覚を言葉にするなら、次のようなものでした。
場所や環境、価値基準によって、同じ人間でもパフォーマンスが一変する。
ものさしは、世の中に一つではなく、複数あっていいんだ。
第三者から見たら「よくある青年期の危機(アイデンティティの危機)の話なんじゃないの?」と冷静に突っ込まれるかもしれませんが、20歳当時の私は人生を野外教育に救われたと、そう感じました。
そして自分にとってほぼ世界の全てだった陸上競技を迷わず辞め、野外教育を大学で選考する決断もできました。
(大学に入ってから初めて、授業を教室の最前列で聴講し、心動かされたのも野外教育の授業でした)
それまで唯一だと思っていた価値基準・ものさしから距離を置き、自分にも別の価値や生き方があると知り、新しい人生を歩き始めることができた。
これが私と野外教育との出会いであり、株式会社YAGAI創業につながる原体験です。
02|What I Care About
関心の中心にあるのは、
人と組織の変化。
私が株式会社YAGAIを設立したのは、アウトドア活動そのものを広めたいからではありません。登山やキャンプの技術を教える事業でもありません。
関心があるのは、人がどのような状況で普段とは異なる力を発揮するのか、チームの関係性がどのように移ろうのか、そしてその変化をどのように日常の仕事や活動へつなげるかという部分です。
その意味で、野外フィールドには、日常の役職や立場、慣習から強制的に離れざるを得ない「非日常性」、計画通りに物事が進むことがない「不確実性」、頭で考えるだけではなく身体を用いる「身体性」がデフォルトで用意されていて、人や組織が変化を起こしやすい舞台になります。
勇気を持って場に異論を投じる人。普段とはひと味違う特性を発揮して驚きを与える人。周囲が投げ出しても諦めずに最後まで解決行動を取り続ける人。チームがどのように情報を共有し、役割や責任を調整するのか。そうした個人やチームの行動が、日常場面とは異なる形で現れます。
私にとって野外は目的地ではなく、人と組織を理解し、新しい行動を試し、日常を変化させるための実験フィールドです。


03|Why Now
20年のビジネス経験を経て、
野外教育の市場を創る。
大学院修了時(2005年)、私には大学に教員として残る選択肢もありました。しかし、教育や研究の世界だけで経験を完結させず、企業の中で広くビジネスを学ぶ道を選びました。
理由は、野外教育の価値を社会へ届けるためには、教育や研究の専門性だけでなく、顧客の課題を理解し、価値を伝え、対価を得て事業として成立させるビジネス領域の力が必要だと考えたからです。
当時、野外教育の分野では、専門性を高めながら安定したキャリアを築ける選択肢が、大学や公的機関以外に十分に整っているとはいえませんでした。
「そんな状況を変えたい。」
あえて外の世界へ出て、自分が苦手だと自覚していた営業やビジネスを学ぶ。そして将来は、ビジネスの側から野外教育に貢献する。それが、当時描いていた計画でした。
当初は、10年ほど企業で経験を積んだ後に、野外教育に関わる事業を始めるつもりでした。しかし、実際には、それを形にするだけの力が私にありませんでした。そして、目の前の仕事や家庭、生活の諸々に向き合ううちに10年が過ぎ、いつしか20年近くが経過していました。
転機は、フリーランスとして独立し、3年ほど経過した2021年頃。
「雇われずに自分の力で生きたい」と独立した後の仕事は順調でした。顧客にも恵まれ、良い仕事と収入を得ることができました。その一方で、依頼された業務を着実に遂行するだけでは、自分自身が本当に形にしたいことができていないという感覚が、次第に大きくなっていきました。
自分は、この人生で何をしたかったのか。
そう考えたときに頭に浮かんだことは、20歳のときに出会い、自分の人生を変えてくれた野外教育でした。ビジネスの側から野外教育に貢献するという大学院修了時の熱い想いは、長い間、実行に移せないまま見ないふりをしていました。
正直、口だけの自分が情けないし、カッコ悪いなと。自分への約束も、尊敬する先輩への約束も果たしていない。
2021年頃から、再び筑波大学 野外運動研究室との関わりを深めるようになりました。野外フィールド研修の講師や運営支援、子ども向けキャンプの指導に携わり、英国発の冒険教育機関「日本アウトワード・バウンド協会(OBJ)」の37日間の指導者養成プログラム(JALT)にも参加し、野外フィールド研修を指導するためのハード・ソフトスキルを学び直しました。こうして大学院修了後に少し距離ができていた野外教育の世界へ、約15年ぶりに実践者として再突入しました。



しかし、改めて野外教育の現場に戻って見えてきたのは、厳しい現実でした。
野外教育には豊かな研究知と実践知がある一方で、その価値を企業や社会へ広く届ける仕組みや、担い手が専門性を高めながら経済的に十分な報酬を得て長く活動できる市場に未だ成立していない。20年前と同じ課題がある。
そのことへの違和感は、やがて「誰かが変えるのを待つのではなく、自分が始めなければならない」という思いに変わりました。
十分な顧客基盤や、完成された事業モデルがあったわけではありません。成功できるという確信があったわけでもありません。それでも、自分が最初の一歩を担うと決めました。
その決断をしたとき、遠回りだと思っていた20年間の経験が、株式会社YAGAIの土台になることにも気づきました。
顧客の潜在的な課題を捉えること。専門的な価値を相手に伝わるサービスへと変換すること。人や組織の変化をハンズオンで支援すること。そして、正当な対価を得ながら事業として継続させること。
これらはすべて、野外教育の価値を社会へ届けるために必要な力でした。
野外教育の研究知と実践知に、ビジネスの世界で積み重ねてきた経験を掛け合わせ、新しい顧客、新しい仕事、新しい市場をつくる。
2005年、大学院修了時に思い描いた「ビジネスの側から野外教育に貢献する」という想いを、20年以上経た今、実行に移すために株式会社YAGAIを設立しました。(2026年7月現在)
Founder Profile
粟野 友樹(Awano Tomoki)
株式会社YAGAI 代表取締役CEO
1979年、福井県生まれ。筑波大学体育専門学群、筑波大学大学院体育研究科にて野外教育を学ぶ。
2005年に大学院修了後、GMOインターネットグループの求人広告会社、外資系金融機関、パーソルキャリア株式会社、人材系ベンチャーを経て、2018年に組織人事コンサルティングSeguros(セグロス)として独立。採用支援、キャリア開発、人材・組織開発、企業研修、転職・キャリア領域の大手メディア(「リクナビNEXT」など8メディア)のコンテンツ監修等に携わる。
2026年、株式会社YAGAIを設立。

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